wakatonoの戯れメモ

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実践CSIRT 現場で使えるセキュリティ事故対応を読んでみた(3)〜たぶんスコープ外だけど、期待しちゃいけない点

本書に、チームビルディングやチームマネジメント、ケイパビリティ、チーム成熟度などの話を期待してはいけない。

1章「事故対応の司令塔「CSIRT」とは」で、「何よりまずは CSIRT を立ち上げる」とあるが、正直なところ、このとおりのアクションを取れる企業/組織は、現時点では(たぶん)あまりない。もちろん、考え方などで参考になるところも多いのだが、企業ごとにチームを結成するためのハードルが違ってくるので、(あたりまえのことと言われるかもしれないが)こういうやり方もある、ということで参考にとどめるべきであろう。

で…本書は「現場対応」に力点を置いて書いているということもあるが、対応するチームをどう切り回していくか?を知りたい方々にはあまり参考にならない。
そもそも「どう対応するか」というプロセスと、プロセスで使われるツール、そして留意点が書かれている書籍なので、対応する前にどう(ゼロから)チームを組み立て、運営していくかについては(1章に部分的に書かれてはいるものの)参考にはできないと思ったほうがよい。

むしろCSIRTをどうやって立ち上げるか?などの話は、現時点で最も参考になると思われる文書類は、日本シーサート協議会がリリースしているCSIRTスタータキットJPCERT/CCがリリースしているCSIRTマテリアルなどがある。

また、CSIRTの窓口を作る際には、手前味噌であるが「世の中CSIRTという文字列が…」が多少の参考になると考える。