wakatonoの戯れメモ

はてなダイアリーから引っ越してきました。

言葉狩りシステム雑感

オグリン サーカス第二幕が開いたようで、そこで騒ぎを知る。発信者情報開示システムってすげぇなぁ…言葉狩りシステムですか。

4年近く前の、Slashdot Japanの記事の中に、「匿名」に関するエントリがある。いろいろ書いてることはあるけど、要は

  • モラルある使い方をされた場合、匿名は「弱者が持てる最強の武器」である
  • モラルを欠いた使い方をされた場合、匿名は「卑怯者の盾」になる


という二面性の話を述べている。その中から引用をしてみよう。


匿名というシステムは、もともとは意見を言いたくても言えない立場の人が身分(身元)を隠して発言を出来るようにというところから端を発しているように思う。


「卑怯者の盾」として使われるケースってのは、もう何も言うまい。つぅか、嫌悪の対象という感じである。ただ、「弱者が持てる最強の武器」として使われた場合も「卑怯者の盾」と同列に見られるのは、「それって違うのでは?」と思うわけである。

ところが、blogなんかで匿名のコメントがあり、その内容が「一般的、もしくは常識に照らし合わせて」有効(まっとう)な内容であっても、そのblogを書いてる人にとっては耳が痛い(もしくは都合が悪い)ものであった場合は、その武器を行使された方にとっては都合が悪いわけである。

ここで小倉弁護士の書いた内容から引用してみよう。


開示請求者が特定の発信者に対し不法行為に基づく損害賠償請求権等を有することを立証しなくとも、発信者を特定するのに必要な情報を有する者がこれを開示するような法的システムが求められます。
Annex of BENLI:発信者情報開示システムより

…これはすごい。要は「オレに都合が悪い内容を書いた奴の情報を特定できるような法的システムが必要」と言ってるように見えるんだけど、気のせいかな…とりあえず

  • 「卑怯者の盾」を使った奴を特定する
  • 「弱者の武器」を使った奴を特定する

どちらもできてしまうように見えるのだけど、このシステム、後者の危険性について、なんか考えた末の発言なのかなー。

それと、オレが知りたいのは、「このシステム」が悪用され、何の罪もない人が何らかの被害を被る可能性と、その可能性が現実のものとなった場合の「小倉弁護士の見解」だったりするのだけど…。

なお、最低限のトレーサビリティは確保すべきだとは思うが、それと「身元の開示可能性を上げる」こととはイコールにはならない。また、必要以上の情報は持たない(取得しない)ことが、いわゆる情報流出事故の予防(そもそも流れるような情報がない)につながるとオレは信じてるけど、情報を持ちすぎることによる弊害はどう考えられているのか。これ、某所で某弁護士に質問したことがあるのだけど(ダイレクトに書くと名誉毀損とか言われそうなので(w))、「そんなんそちらの(システム屋が)考えるべきこと」と一蹴された記憶が。がっくり。

ちなみにオレは、弁護士という職業につく方々は弱者とは思っていない。法律を武器にする強者だと思っている。その武器を誰に向けるかはさまざまだが、「弱者の武器」しか行使しようがない立場の人を「自分の意見を論破されたから」といって、そういう武器をもってぶち砕くようなチンケなまねはしない人たちだと思っている*1

つぅか、法律ってコモンセンスの集合体じゃないの?
オレがコモンセンスを持つかどうかという議論はあるけど(笑)、オレの感覚だと「弱者は保護されるべき対象」であり、「石持てもて追われる対象」ではないと思ってるけど、これって間違いなのかなぁ。

*1:例外もいるようだが

なぜ言葉狩りシステムなのか

って、なぜそう思ったのか書いてなあったよ(汗)。
わかる人はわかってるし、すでに誰かが言及してるけど、都合の悪いコメントを残した誰かをblog主(に限らない誰か第三者)がトレースできることは、

  • 意趣返しの危険性
  • ストーカー被害拡大の危険性
  • 強者による弱者の(正当な内容の)言論封殺


なんてことを助長しかねない。これって言葉狩りシステムだよなー、と思ったからにほかならんのですがね。

言葉狩りっつーか魔女狩りかな。

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kmutoさんの手によるDebianを使う時の辞書(というかホントに辞書だ)。
やっとレビューも掲載された(汗)。
あわせて読みたい徹底入門が待たれるけど、これだけでも充分読める。オレ的には満足。