wakatonoの戯れメモ

はてなダイアリーから引っ越してきました。

論文書きのスタイルチェンジ〜締切ありきではなく、まず自分で納得できる論文を

情報セキュリティ大学院大学の博士後期課程に入学してから4年以上が経過して、「ヤバい!論文誌掲載の実績が、が、が…」というので、あえて立てた方針が以下のとおりでした。

  • 自分の納得いく内容の論文を仕上げる
  • 論文仕上げのメドが立った時点で、一番近い締切の論文誌に投稿する

これまでの自分の投稿スタイルを振り返ると、「締切ありき」で焦って投稿して不採録、というパターンでした。なので、時間が(あまり)ないのはわかってはいたのですが、だからこそ焦らずに論文を仕上げ、「これなら今度こそ大丈夫」という状態にしたかったのです。

論文に求められる要素の1つである「新規性」については、情報系の分野ではほぼチキンレースとも言えるくらいの速度で発見・実証・発表がされています。しかし、自分にはチキンレースというか発表までの速度競争は向かない、とも思えました。なので、自分自身のスタイルである

  • ニッチに走る
  • 道のないところに走る

というのを実践してます。
論文のテーマやメインとするところは、(多分)行けるだろうという予感はありました。というのも、それまでの査読コメントを熟読する限りは「テーマや結論が既知のもの」という内容は皆無だったからです*1。今になってそこを否定されたら、そのテーマでの論文投稿はあきらめる(=学位をあきらめる)しかない、というところまで来てたわけです。

*1:って、そんなことを正面きっていえるかどうかもわからんですが

とある論文誌へ投稿〜不採録になったものの、有用なコメントに奮い立つ

というところで(?)、自分で(その時点で)最良と思える論文が書き上がり、投稿をしました。査読も早いという論文誌だったこともあり、結果が返ってくるのも早かったです。
ところが、査読結果は「不採録」でした。
以前は、「不採録」を通知されたら3ヶ月は何も手がつかない状態だったのですが、度重なる不再録通知をいただき、「なぜよ?」と食いかからんくらいの勢いで査読コメントを読むことに。
詳細は避けますが、まとめると

  1. 主張はいいのだが、主張を裏付ける評価結果が足りない
  2. なぜその研究(主題)に結びついてるのかがわからない
  3. なんで今更そんなことやってるの?

1番目は、評価結果を増やし、主張を裏付ける評価結果を増やしました
2番目は、論文を読みなおして議論の流れを整理し、節を別のところに入れなおしたり、場合によっては節ごと削除して、読む人の理解を阻害しないように心がけました。
3番目は、もともとスコープはそこに絞りたかったので、目的やスコープを絞るための論述が足りないと判断しました。

採録にはなりましたが、むしろ前向きなコメントをいただき、「もう一度修正して投稿しよう」と決心。こうして出来上がった論文を、この論文の査読結果を受け取ってから数日後に、(こともあろうに)論文誌にまた投稿したのです(汗

論文誌投稿から採録通知までの(心臓によくない)3ヶ月間

ほとんどイレギュラーなパターンではありましたが、不採録の通知をいただいてから数日で論文を修正し、別の論文誌に投稿を行いました。
論文誌の査読自体は、数ヶ月オーダーでかかる(結果通知まで半年とかいうのも珍しい話ではない)ものと理解していたのですが、恐ろしいことに

投稿から2ヶ月足らずで査読完了していた

というのを確認しました。さすがにこれにはビックリです。
以前投稿した際は、2ヶ月経過した時点で「査読者の割当が終っていない」「まだ査読中」というのがあたりまえだったのですが、今度は「委員会審議待ち」というステータスに。
これは、論文そのものは査読が終わっていて「あとは編集委員会での議論や承認をまつだけ」という意味だと理解したのですが、「なんぼなんでも早過ぎるだろ」と。この時点で実は「不採録」を覚悟していました。

…それから1ヶ月以上、待ち状態となるわけですが、正直生きた心地がしませんでした。
ところが…査読結果が届いてみてびっくりしたのは、結果のところに「採録」としか書かれていなかったこと。出来すぎだろ。というか、極端過ぎます。

査読コメントを読んでも、ネガティブなことは何一つ書かれていませんでした。ということで(?)、最初にその取組みの着想を得てから3年以上(場合によっては4年近く)が経過し、ここに結実したことになります。
論文の著者も、私と指導教官の先生だけ。
あたりまえといえばあたりまえですが、仮説も評価プログラムも何もかも、自分でゼロから作り上げ、先生との議論を経て自分の持論を確立し、まとめ、投稿して、研究者としての先輩方にその成果を認めていただいたわけで、嬉しくないわけがありません。