言語ビジネス
大元は、Curlに関するCNET Japanの記事から。
matzさんの意見は使い手(開発を行うサイド)から見た意見、羊堂本舗さんの意見は、「移行」という点にフォーカスした意見という感じがする。じゃ、CNET Japanに書かれてるような「SIer」はどうなんだろうか。
SIerは、でかいところであればあるほどリスクを嫌う傾向にある*1。リスクをヘッジするためにやることはいくつもあるけど、ざっと言語にかかわる部分を挙げると
- 枯れた言語/実績のある言語を使う
- 技術者の確保が容易もしくは大量育成が容易な言語を使う
- 既存の資産が利用可能な言語を使う
- 複数のプラットフォームで利用可能な言語を使う
- それを知ってるエンジニア/プログラマが多いことで相応の儲けが見込まれる言語を使う
というあたりかな。相互に重複するあたりはご勘弁を (_ _)。
で、言語実装がいかによいものであったとしても、これらの点が満たされないことには企業としては(経営サイドは)受け入れ難いものである。
で、CNET Japanの記事中、カール・アジアパシフィック社長の塩野谷氏による
というくだりがあるが、Curlがその乖離を解決するものであるのか?というあたりについては記事中では触れていない。
我々はJavaのシステム開発にいろいろな限界を感じていました。
それは機能の問題ではなく、開発コストの問題です。Javaをベース
にして見積もりを出すと、ユーザーの予算と合わないんです。結局
SIerは自社の利益を削るか、赤字で受注することになる。それで
Java以外の技術を探していたときにCurlを知ったんです。
それに加えて、「Curlってどんな感じで開発するんだろ」という人が気軽に試せない環境であるというのも気になる。このあたりはまつもとさんの日記に書いてあるので、これ以上は書かないが…。
有料の言語で失敗しているものは山ほどある。それは価格体系の問題だったりライセンス内容の問題だったりいろいろとあるが、MSのVisualなにがしくらいじゃなかろか。>成功してるの
まつもとさんみたいにVBだけとは言わないけど、MSは
- まず「開発したものが動く環境」を広め(Windowsとか)
- その上で動くものを開発するための環境を売り
- それを使って開発できれば稼げる
というモデル(?)を作った。
現状、そこに対して(やれば金が稼げるというのを削ってまで)Curlを選択して新規にSIなりソフトウェア開発なりのビジネスに進出するのはリスキー以外の何者でもない。
別にCurlを否定するわけではないが、Curlを選択すると思っている理由が技術ドリブンになりすぎてないか?というのがオレの懸念。
いや、オレは当面使わない(使えない)からいいんですが(っていうオチか)。
*1:思い込みかもしれないけど