wakatonoの戯れメモ

はてなダイアリーから引っ越してきました。

公式SoftEther活用ガイド(ASIN:4756144837)

登さん(id:softether)をはじめとする方々の手によるもの。
今日早速買って、ざっと読み終わりました。
アマゾンのレビューの下書きも兼ねて、ざっと書いてましょう。


開発者自らが語るSoftEtherの解説には一見の価値あり

SoftEtherの動作原理から活用事例までが一通り網羅されており、SoftEtherによるL2レベルのVPNを構築するには必要十分な情報は本書を通じて得られるだろう。

また、簡単ではあるものの、SoftEtherを使った場合のセキュリティリスクについても触れてある。「単純に便利だから」というユーザにも「大丈夫か?」というユーザにもある程度のリスクとその対処に関する検討指針を示している部分は評価に値する。

ただ、SoftEtherについて言うならば、SoftEtherによって実現されるL2レベルのVPNで発生する問題よりはむしろ、L3レベル(IPレベル)で「通信できない」というようなトラブルが報告されることが多いので、可能であれば簡単に上位プロトコルでのトラブル事例とその対処について述べるか、どのような資料がよいかというあたりにも踏み込んでおくと、本書の価値はより高くなったのではないだろうか。もしくはMLや直接報告されたものの中から「トラブル対処例」として紹介しておいても悪くはなかっただろう。

但し、それらについては本書で取り扱う範囲を逸脱するともとれる。しかし、TCP/IPレベルの話は実際にVPNを構築して使うには必須のものになるので、可能であれば本書とあわせてL3レベルのネットワーク入門書もあわせて読んでおいた方がよいだろう。

現状、本書以上にSoftEtherに関して動作原理から事例を語る書籍はなく、SoftEtherに関する記述が本書以上に充実している書籍もないが、これだけで実際のVPN構築も理解できるということにはならない。この点だけは注意しておいた方がいいだろう。

あとはおまけ的な部分だが、付録として登氏が実際に開発をしていた様子が簡単に語られている。ちょっと得した気分だ(笑)。

実際に掲載したものはもう少し簡略化してありますが、上がフルセットです。ちなみにつけた星の数は4つ。
1つ足りないのは、トラブル事例などについてももう少し触れておいてほしかったという気持ちの表れだったり(汗)。