wakatonoの戯れメモ

はてなダイアリーから引っ越してきました。

「ハイテク犯罪捜査入門−基礎編−」読破率100%

とりあえずは一通り読み終わりました。
あと2〜3回は読みたいところですが、全体的な所感としては

  • 実際の事件とそれに対する判決に沿っており、その解説には説得力がある

これについては今更語ることもないでしょう。

  • 普通に問題解決能力を持つエンジニアが読んだ場合、若干の消化不良を起こす可能性がある

特にテクノクラート的思想を持ったエンジニアは「なんでこれが?」というように納得いかない解釈や内容が山のようにあります。
しかし、この書籍はあくまで「レガシーな警察・司法関係者」のために「これから起こりうる(というかもう起きている)」新しい種類の犯罪にどのように対処していくか?というのを主眼に書かれています*1

  • 実際にITにかかわる部分は全体の半分から2/3くらいかな?

決してITだけってわけではありませんが、参考になります。

  • 実例とその解説の記述レベルがまちまち

比較的、「『エンジニアを確保できていると思われるアナログ系』の(レガシな)判例が積み重なっている部分」については詳しく書いてある気配がありますが、エンジニアの確保がまだ不足していると思われる部分は、事件発生につながりかねない*2という危惧からかあまり詳細には記述されていない風です。

  • 誤記が多い(w

例:JavaJavaScriptは別物です(汗)。

  • 当局はこのレベルのことならば捕まえる自信があると思われる

初版がリリースされたのは平成16年3月ですが、実際に捜査・司法当局に情報がいきわたったのはそれより1年くらい前と推測されることから、本書の内容を理解し、研鑽している当局の方々は多数にのぼるだろうと思われます。

  • 犯罪者のスジ読みを奨励している

おそらくすべての犯罪捜査の基本の1つだろうと思われますが、セキュリティを啓蒙する立場の人は間違いなく同じ視点を持っていなければならないでしょう。
この部分、セキュばな(仮名)の自分のポジションペーパにも何らかの形で反映するつもりですが、「その情報をリリースすることで誰がどう使うか(悪い場合も含む)を想定しよう、というところにつながってきます。

とりあえずこんなところですかねー。

*1:こじませんせいの意見とか崎山さんの意見を読むに、著作権法上問題ありそうな内容を含んではいますが…

*2:というか、事件を未然に防ぐ