みんなVPN死ね症候群にかかってないか?
極端なテレワーク推奨期間に入ってはや数ヶ月(?)、VPNについて「クラウドベースに移行するのを視野に入れて」とかなんとかいろいろと出てるけど、別にVPNが悪いわけじゃないぞ。使うVPNの種類と使い所を間違っているだけだ。
ということで、本日はざっくりとしたVPNの種類と使い所を、自分の記憶と理解の範囲だけで説明してみよう*1。
VPN is 何?~種類の前にまずはここから
VPNとは、「専用線とみなして使うことができる回線であり、「専用線のようなもの」である。」という以上の意味しかない。ちなみに対義語はPN(Private Network)。技術的には、「接続される2点もしくはそれ以上をつなぐ」専用に使われる回線である。しかしVPNは、技術的に専用線のようなものと言えるかもしれないけど、厳密には専用線ではない。それっくらいの意味しかない。
IP-VPN is 何?
IP専用のVPN。網は通信事業者が準備しているものを使う。機密性、完全製、可用性(この場合は利用可能な帯域)は、通信事業者がサービス内容に応じて設定する。結構お高い。
インターネットVPN is 何?
IPsecやSSLなどを用いて、機密性と完全製を担保するタイプのVPN。可用性(帯域)は、通る経路によってだいぶ異なるため、まず保証はされない。ただ、トポロジにもよるが、IP-VPNよりは安価にすむことが多い*2。
テレワークで使われるのは?~当然インターネットVPNだが…
インターネットVPNの場合は、接続されるのはエンドユーザと(例えば)会社であり、そこからさらに「別のサービスを使う」ための接続が走る。
ユーザ - 職場 - サービスサイト、というような構成になる。
サービスサイトは、なんでも適当なものを想定すればよい。例えばどこかのWebサイトでもよいし、Zoomなどのオンライン会議サービスなどでもよい。
インターネットVPNの問題は?~インターネット技術のよさをある意味全く無効化してしまっていること
テレワークで使われるのは、インターネットVPNだが、別にインターネットVPNが悪いわけではない。ユースケースが悪いのだ。
多くの場合、ユーザは手元の端末(コンピュータなど)から職場などに置いてあるコンピュータににVPN経由で接続し、そこからさらに外部のサービスに接続することになると思うのだが、このときに「通信が必ず職場を通る」ことになる。インターネットは、経路制御プロトコルなどの働きにより、できるだけ高速に通信ができる/通信ができやすい経路をユーザが意識しなくても使用することが可能である。
しかし、テレワークの場合、必ず「職場」を通り、そこからサービスに接続することから、「職場」がボトルネックになる。ボトルネックになっても、仕組み上しょうがない状態であり、もはやどうしようもない。
解決法の案~サービスはサービスに、会社の中は会社に、という形でTPOに応じた通信を実現する必要があるが、問題も。
解決法はいたってシンプルで、会社であろうと外部サービスであろうと、最適な経路を使えるようにすることだ。しかし、会社を通らないとガバナンス上(情報管理上)のリスクを抱えることになる。例えば「社員の私物PCに、業務上の機密資料が複製される」などがそのひとつである。
なので、テレワークを行う社員に配布するコンピュータは、そういうことを行えないような仕掛けを施す必要がある。
むすび~テレワーク時の情報管理に留意する必要はあるが、なるべく必要なサービスにはユーザの手元コンピュータから直接利用できるようにしよう
例で情報持ち出しのリスクの話を挙げたが、このあたりは別にテレワーク云々関係なく考えなければ行けない話である。
通信のボトルネックになるのが職場、というケースが多いことを勘案すると、そこは通らないが、情報管理をきっちりとやる、ということを考えるのがよい。