wakatonoの戯れメモ

はてなダイアリーから引っ越してきました。

年初のIPAの漏洩は、停職3ヶ月

先日、年度早々に発生したIPAの職員による情報漏洩について、処分が発表されました。

・プレス発表 当機構職員の私物パソコンによる情報流出等について
 http://www.ipa.go.jp/about/press/20090119.html

内容を見ると、「就業規則に基づき」とあるので、真っ当に(懲戒処分の決定に係る)会議体が開催され、その結果こうなったというように読めます。

処分が重過ぎるんじゃないか?もしくは軽すぎるんじゃないか?という話はあるとは思いますが、まぁ妥当じゃないかと思います。勤務先の機密情報は含まれていなかったわけですし、「当機構イベントの私的撮影写真及び2007年の当機構職員海外出張伺いの下書き」をどう捉えるか?にもよりますが、基本的には「ガチガチに縛って外に出てはならない機密情報」とは思えません。

漏洩した内容のみを考えると「重過ぎる処分」になりますが、、結果として組織の信用や名誉を毀損せしめたという点が「加重要素」として加味されて、このような処分が決まったのだとしたら(多分そんなところだと思いますが)、納得いく内容であろうと考えます。それに、(表には見えませんが)この件でマネジメントラインも何らかの処分が行われてると見てますので、(良くも悪くも)本件そのものについては組織としてのけじめをつけた、と考えてよいでしょう。あとは再発防止ですかね。

ただ今後は、就業規則そのものに改定が加えられると見てますんで、同じ組織で同じことをやったからといって、まったく同じ処分内容になるとは思えないです。

懲戒というプロセスを執行すること

組織の一員として動く以上、その組織のルールに従って動くのが筋ですし、賞罰もまた、その組織のルールに従って行われるべきです。
今回の件は、(私自身が想定している)「就業規則」というルールにしたがって、懲戒プロセスが走った結果としては真っ当だと思ってます。
(一見重過ぎるように見えても)「『つこうた』ことに対する世論」に必要以上に反応して「解雇」に行かなかったのは、大きく評価すべきだと思ってたりします。
あくまで想像でしかありませんが、今回内部での処分検討を行うにあたっては、世論に必要以上に反応して「解雇」という声も(大きさはよくわかりませんが)出てはいたはずです。ただ、その声に任せて「解雇」としてしまったら、(逆に)私はIPAの内部プロセスについて「信用ならん」と公言してたと思います。

組織の信用失墜と、当事者の重過失

オレはIPA就業規則を知る立場にないので*1 、組織の性格、「普通に閲覧可能な就業規則」の例、そしてその事故によって引き起こされた事象をもとに考察しているわけです。
で、私はこの漏洩については(故意ではないにしても)重過失といわれてもしょうがないくらいの話だと思ってます。さらに言うならば、損害も(事故対応にかかるコスト、組織の信用失墜とその回復にかかるコストという観点からは)組織にとって致命的とはいえないまでも、与えちゃってると思ってます。

祭りの原点に立ち戻ると、「誰がつこうたか」を、組織も含めて特定されてしまった(そして特定に必要な材料が漏洩していた)ところが最大のキーなわけで、おそらく中の人も「せめてこれさえなけりゃなぁ…」とアタマを抱えたはずです。

オレ自身のコンピテンシの1つが情報セキュリティということもあって、贔屓目入っていると思われるかもしれませんが、本件の評価については、組織の性格と経営の観点、そして世論の3つは(普通に)考慮してます。

もちろん、「過失の認定とその重大度」については、組織内で議論と認定が行われたと思うわけですが、下記のような材料がそろってしまっている状況を考えると、客観的には「重過失」と見られても文句言えません。

*1:書いた後で気がついたのですが、ありました>IPA就業規則http://www.ipa.go.jp/about/johokokai/johoteikyo/sosiki/pdf/shugyokisoku.pdf)。

オレなりの理解

…今回の件を追うと、以下のようにまとめられます。

  • 誰かが「つこうた
  • 漏洩した内容に、その「誰か」の経歴や現在の所属が明らかになるような情報が含まれており、現在の所属がIPAであることが判明した
  • 漏洩した内容を掘ると、「これはちょっと」という内容が山のように
  • IPAの性格上、「そういうことはするな」という指導をしなきゃいけないところではないのか?というところでまず祭りに
  • 「身内がつこうた」というところで、IPA面目丸つぶれ&涙目。

で、あちこちで「つこうた」話が出ていて、危ないということがわかっているにもかかわらず*1、その啓発をしている組織の中の人が「つこうた」ことが判明してしまってるわけです。
ここまで材料がそろっていると、私なんかは「こりゃ重過失」だと判断しちゃうわけです。

これで機密情報が漏洩してたらアウチ(解雇)だったとは思いますが、幸いにしてそういうことはなかったので、「組織の信用を失墜させた」&「重過失」ということで「停職3ヶ月」*2となったのではないかと。

*1:そしてそういうことを明言して、「そういうことしないでね」「注意してね」という啓発をしているにもかかわらず

*2:就業規則上は、解雇一歩手前くらいですね